子供が足の捻挫をしたので、病院に行きました。ギプス固定をされただけなんだけど。
捻挫をして、すっごく痛いんだけど、固定をしてくれなかった。
このような事をお聞きしますので、今回は足関節捻挫について書いていこうと思います。よろしくお願い致します。
足関節の捻挫は、年齢や痛めている靭帯によって、処置の方法が変わってきます。
まずは、足関節の捻挫で痛める靭帯について。
こちらは、足関節捻挫をした時に痛める靭帯の図です。
写真は3つしか書いていませんが、診るべき靭帯は下記の4つです。
- 前距腓靭帯
- 後距腓靭帯
- 踵腓靭帯
- 二分靭帯
靭帯をひとつひとつ触ってみて、どの靭帯が怪我をしているのか(圧痛があるのか)を調べます。そして、圧痛やテスト法を用いて、下記の損傷度合に当てはめていきます。
伸びているなら、Ⅰ度損傷。
部分断裂なら、Ⅱ度損傷。
完全断裂なら、Ⅲ度損傷。
これが一般的な足関節捻挫と言われているものです。
内出血があり、歩行などを確認してみて、Ⅱ度損傷を疑うならギプス固定を考慮していきます。
次は、成長期に関わった場合です。
身長が伸びている時期なのか、成長が止まっているのか。
大人と子供(成長期)で違う所は骨が成長途中であるという事です。もし、成長期だった場合には、上記した4つの靭帯に加え、もう一つ診るべきところがあります。
- 前距腓靭帯(捻挫)
- 後距腓靭帯(捻挫)
- 踵腓靭帯(捻挫)
- 二分靭帯(捻挫)
- 骨端線損傷(骨折)
成長期の子供の場合、骨折でもある骨端線損傷が加わってきます。この怪我がある場合は、成長障害や後遺症に悩まされることが考えられるため、程度は関係なくギプス固定を行う事がほとんどです。
(骨端線損傷・・・骨の隙間にある軟骨で、これは身長が伸びるために重要な軟骨です。別名、成長板とも言われています。身長が伸びる為に重要な場所が怪我をしていると思ってもらえると良いかと思います。)
怪我の見方としては、圧痛の有無・叩打痛(骨を軽く叩く)・視診(歩き方など)・問診(怪我をした状況を聞く)です。
この怪我は、ボキッと折れているわけではないので、軽く見られがちになりますが、骨端線損傷があるかないかが、かなり重要なポイントになります。
成長期は、骨端線損傷が疑われるならギプス固定、それ以降は、剥離骨折や靭帯断裂が疑われるならギプス固定をするのが、セオリーです。
ですので、痛みや腫れの強弱で判断はせずに、どの靭帯が傷んでいて、どのくらいの怪我なのかで、処置の仕方は変わってきますし、微妙なラインだと先生によって処置の仕方が違うと言えます。
極端な話になりますが、捻挫をして腫れも内出血もなく、見た目上ひどくない場合でも、骨端線損傷が考えられるとギプス固定します。
ここが大人と子供の怪我の違いです。
ギプス固定をする時期と理由について
捻挫をした場合、靭帯が伸びるというのはご存知の通りです。そして、捻挫をした瞬間に靭帯が伸びてしまい、骨と骨の隙間が開いてしまいます。(子供の場合の骨端線も同じ原理です。)
捻挫する前
骨A──骨B
捻挫をした後
⇦⇦⇦ ⇨⇨⇨
骨A──────骨B
捻挫をする前の骨と骨の隙間が少ない正常な位置に固定し、靭帯を元の状態に修復する為にギプスを使います。
・靭帯を正常な位置で修復させるのか?
・そのまま伸びた状態で修復させるのか?
どちらが癖や後遺症になりにくいかというと、もちろん前者になります。
感の良い方ですと、想像できると思いますが、固定は捻挫をして直ぐが一番効果的です。逆に少し期間が空いた場合はギプス固定はしません。
ギプス固定って、大げさじゃない?
それに、動かした方が早く良くなるって聞いたんだけど・・・。
最初は、僕もそう考えていました。
ただ、骨と骨を固定すると考えた時に、テープで止める場合とギプスで固定する場合は、どちらの方が固定力があるのかってイメージすると良いかもしれません。
次に、動かした方が早く良くなるというのは、かなり正しいです。
怪我をした場所だけは動かさずに、それ以外は歩いたり動いたりしながら、修復を早める方法の一つとして、ギプス固定が最適だといえます。
実際の捻挫での処置はこのように行います。
×印の箇所は損傷している箇所になります。
前距腓靭帯と後距腓靭帯を痛めていて、内出血を伴っています。なので、部分的な断裂だなというのが解りギプス固定をします。
ギプス固定を勧める理由としては、早期回復・早期荷重を行ってもらう為。
歩く事によって、靭帯の修復が早くなると言われています。
ギプスなしでもある人はいますが、痛みがあるのは変わりません。しかし、ギプス固定をした時から、痛み無く荷重する事ができる(怪我をした日から動いてもらえる)ので早期回復に適しています。
それ以外にもギプス固定はメリットがあります。
・痛み無く、早期荷重が出来る。
・足関節が正常な位置で固定されている為、靭帯修復が早い。
・巻いている間は痛み無し
・固定期間は短く、関節の硬縮はありません。
・軽くて丈夫なので、捻挫の再発は無し。
以前は、テーピングで代用していましたが、固定力は数時間だったり、肌がかぶれてしまう事もあったりしたので、長時間の固定には不向きだなと思います。
足関節捻挫にギプスを巻いている間の施術
怪我をしている所を開けて、オステオトロンや微弱電流という電気治療器を使います。
・写真はLIPUS(ライプス)という機械です。
LIPUS(Low Intensity Pulsed Ultra Sound:低出力パルス超音波)の音圧効果により、骨折部位の骨の形成を促進し、骨癒合期間を約40%短縮できます。
伊藤超短波のHP引用
40%短縮すると、3週間 ⇒ 8日程度
固定具を外した後は、足関節が硬くなっているので、ストレッチと運動療法(リハビリ)を行います。自宅でのケアをお伝えし、後遺症も出ないようにしていきます。
まとめ
捻挫の初期・中期・慢性化での治療方法は違います。
捻挫をして日にちが経っているのに痛みがあるという方に聞いてみると、【そのままにしていた】という意見がほとんどです。
ただし、怪我の程度や時期によって、テーピングやサポーターで良い場合もありますし、どんどん動かして痛みを取るやり方もあります。
今回は、あくまでも捻挫をした後の処置に関してと、一般の方から受ける質問を解りやすいように書いてみました。
ご感想を戴きました。
・スポーツの怪我
・骨に異常がなかったけど痛みあるからどうしたらいいの?
などありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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