整体師によるわいせつ行為のニュースを、残念ながら目にすることがあります。
施術という密室空間で起こる、このような事件は、整体業界全体の信頼を損なうだけでなく、被害者の方に深い心の傷を残します。
なぜこのような問題が起こるのでしょうか?
その背景には、整体師という仕事の特殊性があると考えています。
医者と整体師、それぞれの「脱衣」
「医者が診察の際に下心を持って服を脱がせることはないだろう」という意見はごもっともです。
医師法という明確な法律に基づき、医師の行為は厳しく管理されています。患者さんの体に触れる際も、医学的な根拠に基づいて、その必要性が明確に説明されます。
患者さん側も、医師の行為に疑問を持った場合は、すぐに病院に相談することができます。
一方、整体師は国家資格ではないため、医者のような法律による明確な規定がありません。また、施術内容は院によって様々で、患者さんの体に触れる範囲も多岐にわたります。
中には、施術のために下着を外す必要がある場合もあります。この「脱衣」という行為が、時として悪意を持った人物に利用される隙を与えてしまうのです。
「堂々と施術する」と「プライバシーを尊重する」
「堂々と施術すればよい」という考えは、施術者としての自信やプロ意識の表れかもしれません。しかし、患者さんの安心を確保するためには、それだけでは不十分です。
患者さんにとっては、初めての整体院、初めての整体師、そして初めての施術かもしれません。不安な気持ちを抱えていることも少なくありません。そんな中で、何の断りもなく体に触れられたり、必要以上に肌を露出させられたりしたら、不信感を抱くのは当然のことです。
だからこそ、私たちは「プライバシーの尊重」を重視すべきです。
①施術前に明確な説明をする
施術内容、触れる部位、脱衣の必要性などを、事前に丁寧に説明します。
②タオルの利用
施術中は、必要のない部分はタオルで覆い、肌の露出を最小限に抑えます。
③服装の配慮
施術着の貸し出しや、動きやすい服装での来院をお願いするなど、患者さんが安心して施術を受けられるような配慮をします。
信頼を築くために
整体師の仕事は、患者さんの心と体の両方に寄り添うことです。そのためには、技術や知識だけでなく、何よりも信頼関係が不可欠です。
わいせつ行為の問題を防ぐためには、施術者がプロ意識を高く持ち、患者さんのプライバシーを最大限に尊重することが重要です。また、私たち整体院側も、患者さんが安心して施術を受けられる環境を整え、万が一の事態に備えて相談窓口を設けるなどの対策を講じる必要があります。
患者さんの「安心」と「信頼」を大切にすることで、整体業界全体のイメージを変え、より健全な発展を目指していきたいと考えています。
コメント