前回は「ストレッチの効果と使い分け」について解説しました。
その記事はこちら▼
今回は具体的な「静的ストレッチング」と「動的ストレッチング」のやり方とポイントを解説します。
ストレッチングは、大きく分けて「静的」と「動的」の2種類があり、目的に合わせて使い分けることがパフォーマンス向上と怪我の予防に繋がります。
| ストレッチの種類 | 別名 | 主な目的 | おすすめのタイミング |
| 静的ストレッチング | スタティックストレッチング | 柔軟性の向上、疲労回復、リラックス | 運動後、入浴後、就寝前、日常的な柔軟性の改善 |
| 動的ストレッチング | ダイナミックストレッチング | 筋温上昇、関節の可動域拡大、運動準備 | 運動前(ウォーミングアップ)、運動直前 |
1. 静的ストレッチング(スタティックストレッチング)
最も一般的で、筋肉をゆっくりと伸ばして一定時間静止するストレッチです。
✅ やり方のポイント
| ポイント | 具体的な動作 | 効果 |
| 反動を使わない | 弾みや勢いをつけず、ゆっくりと動作する。 | 筋肉の防御反応(伸張反射)を防ぎ、効果的に伸ばせる。 |
| 「痛気持ち良い」程度 | 痛みを感じる一歩手前の、伸びている感覚があるところで止める。 | 力を抜きやすく、リラックス効果が高まる。 |
| 20〜30秒間キープ | 伸ばした姿勢を深呼吸しながら維持する。 | 筋繊維が長く伸張された状態を保ち、柔軟性を向上させる。 |
| 呼吸を止めない | 息を吐くときに、さらに力を抜きながら少しだけ伸ばすイメージで行う。 | リラックス効果を高め、血圧の上昇を防ぐ。 |
【実践例】太もも裏(ハムストリングス)の静的ストレッチ
- 床に座り、片足を前に伸ばし、もう片方の足は曲げて膝を外側に開きます(あぐらのような姿勢)。
- 背筋を伸ばしたまま、伸ばした足のつま先に向かってゆっくりと上体を倒していきます。
- 太ももの裏に伸びを感じたら、その姿勢で20〜30秒間静止し、深呼吸を繰り返します。
- 反対側も同様に行います。
2. 動的ストレッチング(ダイナミックストレッチング)
動きの中で関節を大きく動かし、筋肉をリズミカルに伸ばしたり縮めたりするストレッチです。
✅ やり方のポイント
| ポイント | 具体的な動作 | 効果 |
| 動きを止めない | 反動を利用しながらも、コントロールされた動作を繰り返す。 | 筋肉の収縮と弛緩を繰り返し、神経系の興奮性を高める。 |
| 徐々に大きく | 最初は小さな動きから始め、徐々に関節の可動域を広げ、動きを大きくしていく。 | 関節や筋肉への負担を抑えつつ、筋温を効率よく上昇させる。 |
| 目的の動きに近づける | 行うスポーツや運動の動作に類似した動きを取り入れる。 | 運動特有の神経経路を活性化し、パフォーマンスに直結させる。 |
【実践例】股関節周りの動的ストレッチ(レッグスイング)
- 壁や椅子などに軽く手を添えて立ち、バランスをとります。
- 片足を、体幹を安定させたまま前後に振り子のようにスイングします。
- 最初は小さく、徐々に足を上げる高さを大きくしていきます。
- 目安として、10〜15回程度リズミカルに繰り返します。
- 次に、同じ足を左右(内側と外側)に振る動作も同様に行います。
💡豆知識: ラジオ体操やブラジル体操も、全身を大きくダイナミックに動かすため、動的ストレッチングの一種と見なされます。
まとめ:効果的な使い分けのルール
| 状況 | 推奨されるストレッチ | 理由 |
| 運動前・ウォーミングアップ | 動的ストレッチング | 筋温上昇、可動域拡大、神経系の準備のため。 |
| 運動後・クールダウン | 静的ストレッチング | 興奮した神経を鎮静化させ、筋肉を緩めて疲労物質の排出を促すため。 |
| 柔軟性の改善(日常) | 静的ストレッチング | 持続的に伸張することで柔軟性の向上が期待できるため。 |
ご自身の目的に合わせて、この2種類のストレッチングを上手に活用してください。


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