先日、あるお客様からこんなお話を聞きました。
「僕の肩は筋膜が破けているから痛いんです。」
それは別の治療院で言われたことだそうです。そこで、私は「どんな治療をされたんですか?」と尋ねました。
すると、お客様はこう答えました。
「肩の位置がズレているから、その調整をしてもらいました。」
そして、こう続けました。
「痛みがなくなりました。」
原因と治療のギャップ
痛みがあるところに行って、その痛みが取れた。お客様にとっては、それで十分なことです。
ですが、ちょっと待ってください。
筋膜が破れていると言われたのに、治療は肩の位置の調整。そして、筋膜は破れたまま。
これって、ちょっと不思議だと思いませんか?
お客様は、痛みがなくなったことに納得しています。それが一番大切です。しかし、そもそも「筋膜が破けている」という説明は、本当に正しいのでしょうか?
「納得できる原因」は必要か?
痛みには、必ずしも単一の明確な原因があるわけではありません。むしろ、身体のゆがみや姿勢、日頃の習慣など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じることがほとんどです。
このお客様の場合、おそらく「肩の位置のズレ」を調整することで、肩周辺の筋肉の緊張が和らぎ、結果として痛みが軽減されたのでしょう。
しかし、なぜ「筋膜が破れている」という説明がされたのか?
それは、**お客様が納得しやすい「原因」**を提示するためかもしれません。人は、痛みに理由がなければ不安になります。「筋膜が破けている」というインパクトのある言葉は、お客様に「ああ、だから痛いのか」と納得感を与え、治療への期待を高める効果があるのです。
大切なのは「原因」ではなく「効果」
もちろん、お客様が納得して痛みが改善されたのであれば、それが一番です。
ですが、もしあなたが身体の不調に悩んでいるなら、「納得できる原因」だけに囚われないでほしいのです。
「〜だから痛い」という原因よりも、「〜という治療をしたら楽になった」という効果に注目してみましょう。本当に大切なのは、あなたの身体が楽になること。そして、その効果が持続することです。
もし「原因」と「治療」に違和感を感じたら、その治療が本当にあなたの身体に合っているのか、一度立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。
本当にあなたの痛みを解決してくれる治療院は、「納得できる原因」を提示するのではなく、あなたの身体がどう変わっていくかを、一緒に見てくれる場所ではないでしょうか。
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