ギックリ腰(急性腰痛症)は、突然の激しい腰の痛みで、日常生活に支障をきたすことがあります。長引かせずに回復を早め、再発を防ぐためには、適切な対処と予防が重要です。
ギックリ腰を長引かせないための対処法
1. 急性期(発症直後〜2、3日)
無理な安静は避ける
激痛で動けない場合を除き、過度な安静はかえって回復を遅らせることがあります。痛みが許す範囲で、少しずつ日常生活に戻ることが大切です。
アイシング(冷やす)
患部に炎症が起きている可能性があるので、発症直後から2〜3日は冷湿布や氷嚢などで冷やすのが効果的です。15〜20分程度を目安に、タオルなどで包んで直接肌に触れないようにしましょう。
楽な姿勢で休む
横になる場合は、膝を軽く曲げて横向きになったり、仰向けで膝の下にクッションを入れたりすると腰への負担が軽減されます。
医療機関を受診する
我慢できないほどの痛みがある場合や、足にしびれ、力が入らないなどの症状がある場合は、ぎっくり腰以外の疾患(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など)が隠れている可能性もあるため、早めに整形外科を受診しましょう。
2. 回復期(痛みが落ち着いてきたら)
無理のない範囲で体を動かす
痛みが軽減してきたら、徐々に体を動かし始めましょう。軽いウォーキングや、腰に負担をかけないストレッチから始め、徐々に活動量を増やしていきます。
入浴で温める
急性期を過ぎて痛みが和らいできたら、入浴で腰周りを温めることも効果的です。血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎます。
コルセットの活用
痛みが強い時期や、動く際に不安がある場合は、一時的にコルセットを装着して腰への負担を軽減するのも良いでしょう。
ただし、頼りすぎると筋力低下につながることもあるので、痛みが軽減したら徐々に外していくことを検討しましょう。
適切な栄養摂取
傷ついた組織の修復には、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルが必要です。バランスの取れた食事を心がけ、十分な水分補給も行いましょう。
再発を予防するために
ギックリ腰を繰り返さないためには、日頃からの予防が非常に重要です。
1. 姿勢の改善
正しい姿勢を意識する
長時間座る場合は、背もたれに深く腰かけ、背筋を伸ばし、足を床につけるようにしましょう。膝が股関節より少し高くなるように調整すると良いです。
同じ姿勢を続けない
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、30分〜1時間に一度は立ち上がって軽いストレッチをしたり、姿勢を変えたりしましょう。
物を持ち上げる際の工夫
重い物を持ち上げる際は、腰から曲げるのではなく、膝を曲げて腰をまっすぐに保ち、体の近くに引き寄せてから持ち上げるようにしましょう。
2. 適度な運動とストレッチ
体幹を鍛える
腹筋や背筋といった体幹の筋肉は、腰を支える「天然のコルセット」の役割を果たします。プランク、ドローイン(お腹をへこませる呼吸法)、ブリッジなどの体幹トレーニングを取り入れましょう。
ストレッチを行う
腰だけでなく、太ももの裏(ハムストリングス)やお尻の筋肉、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチも腰への負担軽減につながります。
有酸素運動
ウォーキングや水泳など、腰に負担の少ない有酸素運動は、全身の血行を促進し、筋力維持にも役立ちます。
3. 生活習慣の見直し
体重管理
肥満は腰への負担を増やす原因になります。適正体重を維持するように心がけましょう。
睡眠環境
寝具が合っていないと腰に負担がかかることがあります。腰をサポートするマットレスや枕を選びましょう。
疲労やストレスの軽減
疲労やストレスは筋肉の緊張を高め、ぎっくり腰のリスクを高めます。十分な睡眠をとり、ストレスを溜め込まないようにリフレッシュする時間を作りましょう。
喫煙を控える
喫煙は椎間板への血流を悪化させ、腰痛のリスクを高める可能性があります。
ギックリ腰は一度経験すると再発しやすいと言われています。日頃から腰に負担をかけない生活を心がけ、上記のような予防策を実践することが、長引かせないため、そして再発させないために重要です。
もし痛みが改善しない、悪化するなどの場合は、必ず専門医に相談してください。
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