こんにちは!今回は、膝の靭帯を痛めてしまい、ギプス固定中の方からよくいただく質問にお答えします。
「膝の靭帯が伸びちゃってギプスしてるんだけど、鍼治療で早く治るって本当?」
結論から言うと、ギプス固定中に安易に鍼治療を受けるのはお勧めできません。
この記事では、その理由と、膝の靭帯が伸びてしまった時の正しい対処法について、分かりやすく解説していきます。
1. 膝の靭帯が伸びた状態とは?
「靭帯が伸びた」と一口に言っても、医学的にはいくつかの段階があります。
- 軽度(Grade I): 靭帯の一部が微細に損傷している状態。
- 中度(Grade II): 靭帯が部分的に断裂している状態。
- 重度(Grade III): 靭帯が完全に断裂している状態。
多くの場合、皆さんが「靭帯が伸びた」と感じているのは、軽度から中度の損傷です。
重要なのは、この損傷した靭帯は、自然に元の長さに戻るわけではないということです。 損傷した組織は、かさぶたのように繊維組織によって修復されます。この修復過程が正しく行われることで、靭帯の安定性が保たれます。
2. なぜギプス固定が必要なの?
膝の靭帯を損傷した場合、ギプスで固定するのは、**「安静」と「保護」**が目的です。
- 安静: 損傷した組織の炎症を抑え、修復を促すため。
- 保護: 損傷した靭帯に余計な力がかからないようにし、治癒を妨げないため。
ギプスによって膝関節の動きを制限することで、靭帯の修復を妨げるような**「不適切な動き」**を防いでいるのです。
3. ギプス固定中の鍼治療、なぜお勧めできないの?
では、本題の「ギプス固定中の鍼治療」についてです。
鍼治療は、血行を促進したり、痛みを和らげたりする効果が期待できます。しかし、ギプス固定中に安易に受けるべきではない理由は、以下の2つです。
- ギプス固定の目的と矛盾する
可能性がある鍼によって血行が過剰に促進されると、炎症が長引く可能性があります。また、治療のためにギプスを外したり、無理な体勢で治療を受けることで、かえって靭帯に負担をかけてしまうリスクがあります。
- 専門的な判断が難しい
靭帯損傷の程度や、現在の治癒段階は、専門的な知識を持った医師の診断が必要です。鍼灸師が、ギプス固定が必要なほどの損傷を正確に判断し、適切な治療を行うことは非常に難しいと言えます。
ギプス固定中は、まず医師の指示に従い、安静にすることが最優先です。
4. 膝の靭帯損傷、正しい対策は?
では、どうすれば早く治るのでしょうか?
- 【最優先】
医師の指示を厳守するギプス固定の期間や、リハビリのタイミングなど、医師の指示を必ず守りましょう。自己判断で固定を外したり、無理に動かすのはNGです。
- 【治癒を促進】
ギプス固定期間中の過ごし方ギプスで固定されている間も、ギプスから出ている足の指を動かしたり、血行を良くするための軽い運動を、医師と相談しながら取り入れましょう。また、栄養バランスの取れた食事を心がけることも大切です。
- 【再発防止】
リハビリテーションギプスが外れたら、リハビリテーションが始まります。専門家の指導のもと、筋肉をつけたり、柔軟性を高めたりすることで、膝の安定性を高め、再発を防ぐことができます。
まとめ
- 膝の靭帯が伸びた(損傷した)場合、ギプス固定は治癒のために不可欠な処置です。
- ギプス固定中の安易な鍼治療は、炎症を悪化させたり、靭帯に負担をかけるリスクがあるため、お勧めできません。
- まずは医師の指示に従い、安静にすることが最も重要です。
- リハビリテーションによって、損傷した膝を強くし、再発を防ぐことが大切です。
早く治したいという気持ちはとてもよく分かりますが、焦りは禁物です。専門家の力を借りながら、じっくりと治癒させていきましょう。
この記事が、膝の靭帯を痛めてしまった方の不安を少しでも和らげることができれば幸いです。お大事にしてくださいね!
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