「骨盤矯正」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
産後の体型戻しや、腰痛、姿勢の改善を目的として、多くの女性が関心を持っています。しかし、一方で「骨盤矯正は詐欺だ」「通わせるだけ」といった批判的な声も耳にします。
なぜ、骨盤矯正で何度も通わせようとする院が「詐欺師」と言われてしまうのでしょうか。
科学的根拠の曖昧さ
まず、多くの批判の根源にあるのが、「骨盤の歪み」という概念の科学的根拠の曖昧さです。
私たちが日常生活で「骨盤が歪んでいる」と感じる状態の多くは、骨盤を構成する骨そのものが変形したり、大きくずれたりしているわけではありません。人間の骨格は非常に強固で、日々の生活で簡単に位置が変わるようなものではないのです。
「骨盤が歪んでいる」と診断されたとしても、それが具体的にどのような状態を指しているのか、科学的に明確な定義がないことがほとんどです。
多くの治療院が用いる「骨盤の歪み」という表現は、左右の足の長さが違う、骨盤の高さが違うといった、目視や触診でわかるようなアライメントのわずかな違いを指している場合が多いです。
これらのアライメントのわずかな違いが、必ずしも身体の不調の原因であると断定することは難しいのです。
治療のブラックボックス化と回数券の販売
次に、「通わせるだけ」という批判に繋がるのが、施術内容の不透明さです。患者さんの多くは、どのような施術で何が改善されるのか、明確な説明を受けないまま施術を受けているケースがあります。
「骨盤の歪みを整える」「筋肉のバランスを調整する」といった説明はされますが、具体的にどのような手技で、どのような機序で効果が出るのかがブラックボックス化しているのです。
そして、多くの院が「〇回コース」や「回数券」を強く勧めてきます。
「骨盤は一度で元には戻りません」「元の状態に戻らないようにするには、定期的な施術が必要です」といった説明を受け、数十回にわたる施術契約を結んでしまうケースが後を絶ちません。
しかし、もし本当に「骨盤の歪み」が不調の原因であるならば、なぜ何度も通わなければならないのでしょうか?
症状が改善するまで通うのは理解できますが、症状が軽くなっても「元に戻るから」という理由で通院を続けさせることは、患者さんの不安を煽り、不要な治療を推奨していると捉えられても仕方ありません。
広告表現と実際の効果のギャップ
さらに、誇大広告も「詐欺」という印象を強める要因です。「たった1回で小顔に!」「履くだけで痩せる骨盤ショーツ!」といった、効果を過剰に謳う広告が多数存在します。
これらの広告は消費者の期待を煽りますが、実際の施術や商品の効果は広告で謳われているほど劇的ではないことがほとんどです。
美容やダイエットを目的とした骨盤矯正は、一時的な姿勢の変化やむくみの解消によるものであり、脂肪が減ったり、骨の形が変わったりするわけではありません。
しかし、「痩せる」「小顔になる」といった言葉で集客しているため、期待通りの効果が得られなかった場合に、患者さんは「騙された」と感じてしまうのです。
まとめ
骨盤矯正そのものがすべて無意味だとは言い切れません。手技による筋肉のほぐしやストレッチは、血行を促進し、一時的な姿勢の改善やリラクゼーション効果をもたらすこともあります。
しかし、以下のような特徴を持つ院には注意が必要です。
自分の体の不調を根本から改善したいと願うのであれば、まずは信頼できる医療機関で医師の診断を受けることが重要です。そして、施術を受ける場合は、施術内容や料金について納得できるまで説明を求めることが、不必要な出費や後悔を避けるための第一歩となります。
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