先日マルシェに参加し、『子どもの身体のチェック』を行いました。
「身長が伸びるためには?」「子どもの猫背に困っている」など、保護者の方々が抱える姿勢の悩みは共通しています。
マルシェで多くの子どもの姿勢をチェックするなかで、猫背傾向にある子どもたちに共通する、ある特徴があることに気づきました。
本記事では、その特徴と、誤った対処法が招くリスクについて解説します。
1. 子どもの猫背を作る外的・内的要因
通学中の小学生を見ていると、重たいカバンを一生懸命持って歩く姿を目にします。
① 重いカバンによるバランス調整
重さに対抗するため、体は自然とバランスを取ろうとして前かがみの姿勢になります。特に筋力のない低学年の子どもでは、この「バランスを取るための前かがみ」が日常的な姿勢となり、猫背の原因の一つになっていると考えられます。
② 姿勢のタイプと隠れた硬さ
姿勢のタイプには背中が丸くなる「円背(えんぱい)」だけでなく、背骨の生理的なカーブが失われる「平背(へいはい)」の子どもも多く見られます。平背は、首のカーブも失われ「ストレートネック」を招きやすい状態です。
そして、猫背傾向にある子どもの多くに共通していたのが、ある動作の「できなさ」でした。
2. 猫背傾向の子どもに共通する「ハムストリングスの硬さ」
身体が硬い子どもの姿勢を詳しくチェックしたところ、「長座(ちょうざ:足をまっすぐ伸ばして座る姿勢)」ができないことに気づきます。
長座ができないとき、特に見てほしいのが「骨盤の角度」です。
上記のように、長座の姿勢で骨盤が後ろに倒れてしまう(後傾する)場合、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)が硬くなっている可能性が非常に高いです。
ハムストリングスは骨盤の動きに深く関わっており、この筋肉が硬いと、骨盤が後ろに引っ張られ、座っている時も立っている時も、背骨の土台となる骨盤が後傾し、結果として背中が丸まってしまうのです。
3. 間違ったストレッチが招く「子どもの腰痛」
「体が硬いからストレッチをしなさい」と言われ、ハムストリングスが硬い状態で無理に長座でのストレッチを頑張りすぎるのは危険です。
柔軟性が不足しているにも関わらず無理に伸ばそうとすると、本来動くべきではない腰の関節が過度に引っ張られ、子どもの腰痛を引き起こす可能性が高くなります。
身体が硬い状態で腰の痛みが強くなる場合は、そのやり方が身体の柔軟性に合っていない証拠です。
やみくもに一生懸命行うよりも、専門家に正しいやり方や、その子に合ったストレッチ方法を聞く方が賢明です。
4. 成長期の子どもに必要なアプローチ
「体幹が弱いから猫背になる」と言われることもありますが、成長期の子どもは筋肥大(筋肉を大きくすること)を目的とした単一の体幹トレーニングを行っても、筋力が劇的に向上するわけではありません。
成長期に意識すべきは、「筋力の向上」よりも「神経系の発達」と「柔軟性の確保」です。
- 優先すべきこと
まずは柔軟性をしっかり確保し、正常なS字カーブを崩している背骨に正しい動きを取り戻すことです。 - 理想的な運動
走り回る、公園の遊具で登ったり下りたりする、鬼ごっこをするなど、単一な動きではなく、複雑で多様な動きをしましょう。これらは神経の成長を促し、遊びながら全身の筋力・バランス・柔軟性を連動させて養うことにつながります。
関節自体が固まることはありませんので、まずは土台である柔軟性を取り戻し、遊びを通じて「しなやかに動ける身体」を作ってあげることが大切です。


コメント