腰が痛いからといって、必ずしも痛みの原因が「腰」にあるとは限りません。
近年、腰痛の診療において注目されているのが、股関節や骨盤の動きの悪さが原因となって腰に痛みが出る「股関節性の腰痛」です。
一般的に言われる「骨盤の歪み」も、多くはこの股関節の機能不全に端を発していることがあります。
もし腰を揉んでも、湿布を貼ってもスッキリしないなら、一度股関節をチェックしてみましょう。
1. 股関節性の腰痛が起こるメカニズム
股関節は、歩く・立つ・かがむといった動作の要となる関節です。この股関節の動きが何らかの原因(例:加齢や運動不足による筋肉の硬直、または変形性股関節症など)で制限されると、体がその動きを補おうとします。
- 代償動作: 股関節が動けない分を、本来は安定して動くべきではない腰椎(腰の骨)が過剰に動き出すことで補います。
- 負担の集中: この過度な負担と動きの繰り返しにより、腰椎やその周辺の筋肉、靭帯にストレスが集中し、結果として「腰痛」として症状が現れます。
つまり、痛みが出ている「腰」は被害者であり、根本原因は「股関節」にあるというわけです。
2. あぐらでできる!股関節性腰痛のセルフチェックリスト
股関節性の腰痛かどうかを見分ける、最も手軽でわかりやすい方法が「あぐら」の確認です。
| チェック項目 | 詳細な確認方法 |
| あぐらの開き具合に左右差がある | 楽な姿勢で胡座をかいたとき、左右の膝の高さや、床への付きやすさに明らかな違いがある。 |
| 開きが悪い側と痛い側の一致 | あぐらで膝が床につきにくい、または開きが悪い側の股関節が、現在痛む腰の側と一致している。 |
| 腰の治療の効果が限定的 | マッサージや湿布など、腰に対しての治療やケアをしても、その場しのぎで痛みがすぐに戻ってしまう。 |
| 股関節の違和感 | 長時間座った後や、歩き始めに股関節周り(足の付け根)に硬さや詰まりを感じる。 |
もしこれらの項目に当てはまる場合は、あなたの腰痛は股関節の機能低下が原因である可能性が高いです。
3. 【重要】まずは医療機関への受診を
股関節性の腰痛が疑われる場合、特に変形性股関節症といった別の疾患が関わっていることもあります。
「心配な時は、医療機関に受診しましょう」
まずは整形外科を受診し、レントゲンや診察を通して、痛みの本当の原因を特定することが最も重要です。自己判断せずに、専門家の診断を仰ぎましょう。
診断の結果、特に問題がない場合は、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチや、前回ご紹介した体幹のエクササイズが非常に有効になります。
もしよろしければ、股関節性の腰痛が疑われる場合に特に効果的な「股関節周りのストレッチ」を具体的にご紹介しましょうか?


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