前回は「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の使い分けを解説しました。
今回は、運動前後の目的に特化した具体的なルーティン(手順例)をご紹介します。
これを実践することで、怪我を防ぎ、パフォーマンスを最大限に引き出し、疲労を効果的に回復させることができます。
1. 運動前:ウォーミングアップ・ルーティン(動的ストレッチ中心)
運動前のルーティンは、心拍数と筋温を上げ、関節の可動域を広げることが目的です。スポーツの動きに合わせた動作で、神経系を活性化させます。
| 手順 | ストレッチ名 | 目的部位 | 時間・回数 | ポイント |
| Step 1 | 軽いジョギング・足踏み | 全身 | 2〜3分 | 軽く汗ばむ程度に、心拍数を上げる。 |
| Step 2 | アームサークル | 肩・肩甲骨 | 前後 各10回 | 最初は小さく、徐々に大きく回す。 |
| Step 3 | 体側伸ばし(サイドベンド) | 体幹・体側 | 左右 各10回 | 動きを止めず、大きく側屈する。 |
| Step 4 | レッグスイング | 股関節・太もも | 前後・左右 各10回 | 壁や柱に手を添えてバランスをとり、振り子のようにリズミカルに振る。 |
| Step 5 | 股関節回し | 股関節 | 左右 各10回 | 膝を曲げた状態で、股関節から大きく回す。 |
| Step 6 | 軽いスクワット | 股関節・脚全体 | 10回 | 動きの確認と、下半身の筋肉に刺激を入れる。 |
| Step 7 | バリスティック・カーフストレッチ | ふくらはぎ | 15回 | 反動を利用し、リズミカルにかかとを上げ下げする。 |
⚠️注意点: 各動作は反動をつけますが、痛みを感じるほど無理に行わないでください。目的は「動かしやすい状態」を作ることです。
2. 運動後:クールダウン・ルーティン(静的ストレッチ中心)
運動後のルーティンは、心拍数を徐々に下げ、使った筋肉をゆっくりと伸ばして緊張を解き、疲労回復を促進することが目的です。
ルーティン全体のポイント
- 深呼吸を意識し、息を吐きながら筋肉を伸ばす。
- 反動は絶対につけない。
- 20~30秒かけてじっくり伸ばし、筋肉の緊張を緩める。
| 手順 | ストレッチ名 | 目的部位 | 時間 | ポイント |
| Step 1 | 太もも裏(ハムストリングス) | 脚後面 | 左右 各20秒 | 反対の足を曲げ、背筋を伸ばしてゆっくり前屈する。 |
| Step 2 | お尻(殿筋) | 股関節周り | 左右 各20秒 | 椅子に座る、または仰向けになり、片足をもう片方の膝に乗せて手前に引き寄せる。 |
| Step 3 | 太もも前(大腿四頭筋) | 脚前面 | 左右 各20秒 | 立位または横向きで、足首を持ち、かかとをお尻に引き寄せる。膝が前に出ないよう注意。 |
| Step 4 | ふくらはぎ(下腿三頭筋) | 下腿 | 左右 各20秒 | 壁に手をつき、足を前後に開いて、後ろ足のかかとを床につけたまま前足に体重をかける。 |
| Step 5 | 胸・腕(大胸筋・上腕) | 胸部・腕 | 20秒 | 壁の角などに手をつき、体を前に出して胸と肩の前を伸ばす。 |
| Step 6 | 肩(三角筋) | 肩 | 左右 各20秒 | 片腕を胸の前で水平に伸ばし、もう一方の腕で肘を抱えて体に引き寄せる。 |
| Step 7 | 深呼吸とリラックス | 全身 | 1分 | 仰向けになり、全身の力を抜き、腹式呼吸を意識してゆっくりと呼吸する。 |
これらのルーティンを、ご自身の運動強度や時間に合わせ、調整しながら取り入れてみてください。継続することで、柔軟性の向上や怪我のリスク軽減に繋がります。



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