骨の成長と強化において、カルシウムが「材料」だとすると、ビタミンDはその材料を体内に取り込むための「接着剤」や「誘導員」のような役割を果たします。
1. ビタミンDの体内合成
ほとんどの動物は、紫外線を浴びることで体内でビタミンDを合成できます。
人間の皮膚には、ビタミンDの前駆体であるプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)が存在します。
このプロビタミンD3が、太陽光に含まれる**紫外線B波(UVB)**を浴びることで、ビタミンD3(コレカルシフェロール)に変化します。
2. カルシウムの吸収促進
体内で作られたビタミンDは、血液に取り込まれ、肝臓や腎臓で活性化型ビタミンDに変わります。
この活性型ビタミンDの最大の働きは、食事から摂取したカルシウムを、腸管から効率よく吸収させることです。
ビタミンDが不足すると、どれだけカルシウムを摂っても、その大部分が吸収されずに体外へ排出されてしまいます。
3. 骨への定着
さらにビタミンDは、血液中のカルシウム濃度を適正に保ち、カルシウムを骨へ運び、沈着させる(骨の石灰化)過程をサポートします。
成長期の子供が十分な骨量を獲得し、強い骨を作るためには、この吸収と定着のプロセスが欠かせません。
必要な日光浴の目安と注意点
過度な紫外線は皮膚に悪影響を及ぼしますが、骨に必要なビタミンDを生成するためには、適度な日光浴で十分です。
| 項目 | 目安 |
| 時間 | 季節や地域、時間帯によって異なりますが、夏の晴天時で15分程度、冬の晴天時で30分程度が目安とされています。(顔や手の甲などに日光を浴びる場合) |
| 場所 | 外に出て、直接太陽の光を浴びることが重要です。窓ガラス越しでは、UVBがカットされてしまうため、ビタミンDはほとんど作られません。 |
| 頻度 | 毎日または週に数回、戸外で過ごす時間を設けることが理想的です。 |
注意点:
強い日差しの中で長時間浴びる必要はありません。特に夏場は、日差しが強すぎない午前中や夕方を選ぶなど、熱中症や日焼け対策をしましょう。
日焼け止めはUVBをカットするため、ビタミンDの生成を妨げます。全身に塗る場合は、顔や手など一部を外に出しておく、または短時間だけ日焼け止めなしで日光を浴びる工夫が必要です。
まとめ
成長期に運動を促す際は、「外で体を動かすこと」を意識すると、運動による骨への刺激と日光浴によるビタミンDの生成という、二重のメリットを得ることができます。
これにより、骨はより効率よく強化されます。

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