長時間同じ作業を続けずに定期的に休憩を取り、手首や指を休ませることが腱鞘炎の予防と対策に極めて重要であるのは、以下の3つの主要な理由があるからです。
1. 腱の「過負荷」と「摩擦」による炎症の防止
腱鞘炎は、腱と腱鞘が摩擦によって炎症を起こす病態(オーバーユース症候群)です。
持続的な摩擦の防止
同じ動作を長時間続けると、腱と腱鞘が休みなく擦れ続けます。休憩を挟むことで、この摩擦の時間が短縮され、炎症を引き起こす熱や微細な損傷の蓄積を防ぐことができます。
炎症物質の除去
炎症は、痛み物質を発生させます。休まず作業を続けると、これらの物質がどんどん蓄積されますが、休憩を取ることで血流の改善が促され、これらの物質の排出が助けられます。
2. 筋肉と腱の「疲労の蓄積」と「血行不良」の改善
腱鞘炎は腱の問題ですが、その腱を動かしている前腕の筋肉の疲労が深く関わっています。
筋肉の緊張緩和
パソコン作業や家事などの集中作業中は、意識していなくても前腕の筋肉が緊張し、硬くなっています。休憩を取り、手や腕をストレッチしたり動かしたりすることで、緊張が緩み、筋肉がリラックスします。
血行の回復
筋肉が緊張しっぱなしの状態は、血管を圧迫し、血流を悪化させます。血行が悪くなると、腱に必要な栄養が行き渡らず、疲労物質も溜まりやすくなります。休憩を挟むことで、血流が回復し、腱や筋肉が修復する助けとなります。
3. 不自然な姿勢による「圧迫」からの解放
長時間同じ姿勢でいることは、腱鞘炎の原因である不自然な手首の角度や圧迫を固定化します。
姿勢のリセット
マウスやキーボード、調理器具を操作しているとき、手首は無意識のうちに不自然な角度で固定されています。休憩時に立ち上がったり、手をぶらぶらさせたりすることで、固定化された姿勢から解放され、腱にかかっていた圧迫が解除されます。
感覚のリフレッシュ
休憩中には、手首や指を意識的に動かしたり、ストレッチを行ったりすることで、体全体の緊張をほぐし、次に作業を始める際の動作や姿勢を意識し直すことができます。
つまり、定期的な休憩は、腱鞘炎の**「原因(摩擦・圧迫)」を取り除き、「症状の悪化(疲労・炎症)」**を防ぐための、最も簡単で効果的なセルフケアなのです。












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