マウスやキーボードの操作が手首や指に大きな負担をかけるのは、主に以下の3つの要因が長時間にわたって重なり合うためです。
1. 繰り返しと集中による「摩擦」と「微小損傷」
腱鞘炎の根本的な原因は、腱とその周りの腱鞘(トンネルのようなもの)が繰り返し擦れることによる炎症です。
キーボード操作
指の屈伸の繰り返し
タイピングは、指の屈筋腱(指を曲げる腱)を短時間で何度も屈伸させる動作の繰り返しです。特に特定のキー(シフトキー、エンターキーなど)を強く叩いたり、速いタイピングを長時間続けたりすると、腱と腱鞘との摩擦が増加します。
マウス操作
クリックの繰り返し
マウスのクリック(特に人差し指や中指)は、指の付け根の腱に大きな負担をかけます。これも腱と腱鞘の摩擦を引き起こし、「ばね指」などの原因になることがあります。
利き手への負担の集中
マウス操作は主に利き手のみで行うため、特定の指と手首に負担が集中しやすくなります。
2. 不自然な姿勢による「腱の圧迫」と「手首の反り」
パソコン作業中の不適切な姿勢が、手首の腱に直接的な負荷をかけます。
手首の反り(背屈)
マウスを握るときやキーボードを操作するとき、**手首が甲側(上側)に反った状態(背屈)**になりやすいです。
この状態が長時間続くと、腱が腱鞘内で圧迫されたり、曲がった状態で引っ張られたりして、摩擦が起こりやすくなります。
手首の下に支え(リストレストなど)がないと、この反りが大きくなり、負担が増します。
手首の固定と圧迫
マウス操作時、手首の底面が硬い机に接触したまま固定されることが多く、この接触による圧迫が手首の神経や腱への負担を増やします。
前腕の緊張
キーボードやマウスの位置が体から遠すぎたり、デスクや椅子の高さが合っていなかったりすると、肘が浮いたり、腕全体が伸び切った状態になったりします。これにより、前腕の筋肉(手首や指を動かす筋肉)が常に緊張し、腱にかかる力が大きくなります。
3. 長時間労働による「血行不良」と「疲労の蓄積」
現代のパソコン作業は、休憩なしで長時間に及ぶことが多いため、疲労が回復する間もなく蓄積されます。
血行不良
長時間同じ姿勢でいると、手や腕の筋肉が凝り固まり、血行が悪くなります。血行不良は、腱の炎症や疲労物質の回復を遅らせ、症状を悪化させます。
休憩不足
腱や腱鞘に炎症が起きても、作業を止めずにいると、炎症が治る時間がなく、慢性化しやすくなります。
これらの要因が複合的に作用することで、パソコン作業は手首や指の腱鞘炎の大きな原因となっているのです。












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